今回は、金属表面処理(黒染め加工)の基礎知識についての記事になります!
黒染めとは?
黒染め(くろぞめ)とは、鉄や鋼などの金属表面を化学反応によって黒色酸化皮膜で覆う処理のことです。一般的には「黒染め加工」や「四三酸化鉄皮膜処理(Fe₃O₄皮膜)」とも呼ばれます。塗装やメッキのように厚い膜を形成するのではなく、金属表面を酸化させて0.5〜1.0μm程度の非常に薄い被膜をつくるのが特徴です。
黒染めの目的と効果
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防錆効果:酸化皮膜によって空気や湿気との反応を抑制します。ただし単独では防錆効果が弱いため、防錆油との併用が一般的です。
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反射防止:光沢を抑え、落ち着いた黒色に仕上がるため、光学機器や工具部品に用いられます。
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寸法精度の維持:膜厚が極めて薄いため、寸法公差に影響を与えにくい点がメリットです。精密部品やねじ部品に適しています。
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装飾性:金属特有の質感を保ちながら黒色に仕上げることができるため、高級感を演出できます。
黒染め加工の工程
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脱脂:油分や汚れを除去
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酸洗い:表面の酸化皮膜や錆を除去
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黒染め処理:専用の薬液で金属表面を酸化させ、黒色皮膜を形成
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水洗い:薬液を除去
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防錆処理:防錆油や防錆剤を塗布して仕上げ
黒染めの用途
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機械部品:精密機械や工作機械の部品
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工具類:ドリル、タップ、刃物など
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光学機器:カメラ部品、望遠鏡内部部品
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装飾品:金属家具やインテリア部品
黒染めと他の表面処理の違い
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塗装やメッキ:比較的厚い膜を形成し、防錆性や装飾性は高いが、寸法精度に影響を与えることもある
- 黒染め:薄い皮膜で寸法変化が少なく、落ち着いた外観が得られるが、防錆性は油との併用が前提
このように黒染め加工は、金属表面処理の中では比較的安価な防錆処理となります。しかし、塗装やメッキ処理に比べ防錆能力が弱いため、
屋内利用が基本になり、屋外での利用する場合は黒染め加工の上から透明な塗料を上塗りするなど、ひと工夫が必要になります。
今後また黒染め加工の事例や、具体的な内容を投稿していきますのでお楽しみに!