長年使用した鉄製品は、どうしても錆びが発生して茶色に変色してしまいます。今回、15年ほど前に製作した鉄製のティラノサウルス模型が2体とも錆びついてしまったため、そのうちの1体に黒染め加工を施してみました。

すると、茶色く変色していた見た目が再び黒色に仕上がり、黒染め加工の再処理が可能であることを実際に確認できました。


黒染め加工は再処理できるのか?

黒染め加工(四三酸化鉄皮膜処理)は鉄の表面に酸化被膜を形成することで、防錆性を高める表面処理方法です。新品時だけでなく、一度黒染め加工された製品でも、再度処理することで黒色を取り戻すことが可能です。

実際に弊社でも「もともと黒染め加工してあった部品を、もう一度黒染めして欲しい」という依頼をいただくことがあります。


強い錆がある場合の注意点

ただし、注意すべき点があります。今回の模型のように錆が強く進行してしまった部分は、再黒染めをしても表面にザラつきが残ってしまいます。

弊社で取り扱っている酸洗い液は、鉄に優しい比較的穏やかなタイプのため、強固に進行した錆をすべて取り除くことは困難です。強力な酸洗い液を使用すれば錆を深くまで落とすことは可能ですが、その場合は錆以外の健全な母材まで溶かしてしまい、寸法精度に影響を与える恐れがあります。

そのため、弊社での再黒染めは「製品の精度を守りながら、安全な範囲で錆を除去する」という方針を取っています。結果として、黒色には戻せても、強い錆があった部分は新品同様の滑らかさにはならない場合がございます。


まとめ

今回のティラノサウルス模型の再黒染めによって、

  • 錆びた鉄製品でも黒染め加工を再処理できる

  • 穏やかな酸洗い液を用いるため、製品を傷めにくい

  • 強い錆は残存しやすく、見た目や表面状態に限界がある

ということが改めて確認できました。

黒染め加工は「新品の部品」だけでなく、「経年で錆びてしまった製品の再生」にも活用できる技術です。
もしお手元の鉄製品が錆びてしまった場合でも、再処理によって蘇らせることができるかもしれません。