― 溶接とCAD展開を自動化し、生産性を高める現場づくり ―
中小製造業の現場では、
「人が足りない」「熟練工が高齢化している」「仕事はあるが回らない」
といった課題を多くの会社が抱えています。
その中で注目されているのがAI(人工知能)ですが、
「AIで仕事がなくなるのではないか」
「現場にはまだ早いのではないか」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし後継者世代として現場を見ていると、AIは人を減らすための技術ではなく、限られた人数で現場を回すための技術だと強く感じています。
本記事では、板金・溶接加工の現場で考えているAI活用のアイデアを、後継者視点で整理します。
熟練工の溶接技術をAIで再現し、協働ロボットに活かす

溶接加工は、数値化しにくい要素が多い工程です。
トーチ角度、運棒のリズム、入熱の感覚などは、熟練工の経験によって成り立っています。
この熟練工の作業をカメラで撮影し、
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動き
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タイミング
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条件ごとの判断
をAIに学習させ、溶接機を搭載した協働ロボットに反映させる、という構想があります。
中小製造業にとってのメリット
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ロボット任せでも「それなりの品質」が出せる
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人は段取り・監視・品質確認に集中できる
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将来的に一人で複数台の協働ロボットを管理
これは「人を減らす自動化」ではなく、
一人工あたりの加工量を増やすための自動化です。
技術継承の視点でも重要
AIに学習させる過程で、
「なぜこの条件なのか」
「なぜこの溶接順なのか」
を言語化・データ化する必要があります。
これは結果的に、熟練工の技術を次世代へ残す作業にもつながります。
CAD展開作業をAIに任せ、現場の負担を減らす
板金加工におけるCAD展開作業は、
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時間がかかる
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属人化しやすい
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ミスが加工ロスに直結する
といった、中小製造業にとって負担の大きい工程です。
そこで考えているのが、
CADの操作画面をAIに学習させ、2D図面からの展開作業をAIに行わせるという方法です。
AIに任せられる部分
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展開手順の再現
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過去データを基にした展開形状の作成
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展開図の一次作成
最終チェックは人が行う前提でも、
「ゼロから作る」のと「確認・修正する」だけでは、作業時間は大きく変わります。
ノウハウ継承という新たな課題
AIが展開作業を担うようになると、
「なぜこの展開なのか」を人が理解しにくくなる可能性があります。
そのため、
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人が修正した理由を記録する
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修正履歴をAIに再学習させる
といった形で、AIを教育ツールとして使う視点が重要になります。
AIに任せきりにするのではなく、
AIと一緒に現場の判断基準を育てていくイメージです。
AIで仕事は奪われるのか?後継者としての考え
加工現場で本当に重要なのは、
「人の数」ではなく
「時間あたりにどれだけ価値を生み出せるか」です。
AIを使うことで、
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単純作業を減らす
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判断と改善に時間を使う
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少人数でも現場を回せる
こうした現場づくりができれば、
人の価値はむしろ高まります。
まとめ|中小製造業がAIとどう向き合うか
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AIは人の代わりではなく「分身」
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熟練工の技術を守り、広げるための道具
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人工削減ではなく生産性と時間対効果の向上
板金加工や溶接のような分野こそ、
現場力とAIが組み合わさったときに最も強くなると考えています。
後継者世代として、
「AIをどう使うか」を考え続けることが、
これからの中小製造業の生き残りにつながるのではないでしょうか。


